|
このセクションでは、公正な競争市場を維持するためのベルギーの競争法について概説します。
合併・買収の統制、制限的商慣習の禁止について取り上げます。
概要
フランダースにおける競争法の法的根拠は何ですか? 執行機関はどこですか?
競争政策はベルギー連邦政府の管轄です。2006年6月10日の競争法(2006年9月15日の勅令で調整)は、競争の保護を規定するものです。
この競争法はベルギー全土で適用されます。手続きと実体の両方において、欧州連合(EU)の競争法をモデルにしています。競争法の執行に責任を負う主要な組織は2つです。1つは行政裁判所である競争評議会(Competition Council)で、監査人(Auditoraat)は競争評議会に所属します。2つめは経済省(Ministry of Economic Affairs)の競争局(Competition Service)で、監査人の監督のもとで市場動向の調査と企業合併を担当します。監査人は特に、競争・制限的取引、合併通知に関する苦情や暫定措置申請を受理します。また、調査活動の編成にも責任を持ちます。調査が完了すると、監査人は報告書を競争評議会に提出しなければなりません。競争事案の決定権は競争評議会にあります。
合併・買収
ベルギーでは、合併または買収はどの時点で競争評議会に報告するのですか?
合併または買収に関わる会社(当事者である企業だけに限定されず)を合わせた売上高がベルギー国内で1億ユーロを超過し、2つ以上の参加事業の各々の売上高が4,000万ユーロを超過する場合の取引は、合併前の提出が義務づけられています。
しかしながら合併または買収がEU規模にわたるもので、EUの司法管轄に従う場合は、ベルギーでの統制は受けません。ただし、規則(EC)139/2004に準拠し、当該の合併または買収がEU委員会からベルギーに差し戻された場合はその限りではありません。原則として、関係する事業体すべての全世界での売上高合計が50億ユーロ以上で、これらの事業体の2つ以上のEUでの売上合計が2億5,000万ユーロ以上の場合は、1加盟国内でEU売上合計の3分の2以上を占めていない限り、合併または買収はEU規模とみなされます。ただし状況によっては、これらの基準を満たしていない取引でも、EU規模とみなされる場合があります。
合併または買収の承認を受けるための審査はどのようなものですか?
合併または買収により支配的なマーケット・ポジションができ、またはそのようなポジションが補強されることで、ベルギー市場またはその大部分における有効な競争を著しく阻害する結果となる場合、合併や買収は承認されません。合併または買収に関係する企業のベルギーにおける市場シェアが合わせて25%に満たなければ、競争評議会は自動的に承認します。その立証責任は企業側にあります。当事者は、関連製品市場と関連地理的市場を競争評議会が確定するためのデータを通知書に記載します。通知書に定義される関連製品市場とは、特徴や価格、用途に関して、交換可能、代替可能であると消費者がみなす製品やサービスのすべてが含まれる市場です。
関連地理的市場とは、当該の物品またはサービスが提供および要求されるベルギー領土内の一部分であり、また競争状態が十分に均質的で、他の地域と区別できる地域をいいます。競争評議会は多くの事例において、関連地理的市場(ベルギーに限定)と、ベルギー国境を超える有効地理的市場とを区別しています。
当局は、合併・買収が関連地理的市場(通常はベルギー全土)に及ぼす影響を重点的に監視します。広告、日用品の小売業、不動産賃貸など、製品市場が比較的局地とみなされる一部の事例では、当局はこれまで関連地理的市場を特定の局地的地域に限定しています。前述したように、場合によっては、より広域に及ぶ有効地理的市場となります。競争評議会が合併または買収を禁止した場合、連邦閣議が主導権を取り、または関係者の要請に応じて、決定を覆し、公共の利益を根拠として取引を承認する場合があります。例えば、国土安全保障上の利益や雇用面を考慮して、このような措置がとられます。閣議は、競争評議会の否決から30営業日以内に決定を下さなくてはなりません。
1. 第1段階
監査人に通知書提出
第1段階の調査期間は、監査人に通知書を提出した次の営業日から始まり、申請書に必要事項がすべて記載されていれば、通知書提出から25営業日後に終了します。
監査人から競争評議会に報告書提出
通知書を提出した当事者は監査人の報告書を閲覧することができます。当事者が閲覧できるのはファイルの機密文書以外の部分(競争局が当事者の顧客や競合他社、第三者と交わした通信文を含む)です。当事者はコメントを出すこともできます。監査人が取引の承認は疑問とみなした場合、報告書提出の遅くとも5日前までに当事者にその旨を通知します。当事者はその後5営業日以内に、承認を受けるために必要な事項を約定することができます。
競争評議会の決定
競争評議会は、以下のいずれかの決定を下します。
(i)当該の取引は法律の適用範囲外である。
(ii)当該の取引は法律の適用範囲に入る。この場合、(a)当事者が示した約定の遵守を条件として承認されるか、または(b)取引案の承認に重大な疑問があるとみなされる場合は第2段階の調査が開始されます。(b)の場合、監査人は競争評議会の決定から30営業日以内に2回目の報告書を提出しなければなりません。
(iii)決定を下さない。この場合、40日を経過した時点で、その取引は承認されたものとみなされます。
2. 第2段階
第2段階の調査を開始する競争評議会の決定
第2段階の調査期間は、競争評議会が調査を開始してから60営業日後に終了します。
競争評議会の決定
当事者から要求があれば、60日の期間を延長することができます。60日間で決定が下されない場合は可決とみなされます。
3. 閣議の決定
閣議は、競争評議会が否決した取引を、公共の利益を根拠に可決することができます。30営業日以内に決定が下されない場合は、閣議は競争評議会の否決を支持したものとみなされます。すなわち、期限までに決定が下されない場合は否決とみなされます。
4. 略式手続き
当事者は略式手続きを申請することができます。略式手続きが適用される取引については、略式通知書に記入します。略式通知書の場合、求められる情報の詳細度が通常よりも低くなります。監査人は、申請書がすべて提出されてから20営業日以内に、略式手続きの申請条件が満たされているかどうかを判断します。
5. 不服申し立て
通知書を提出した関係者、および競争評議会に出頭した第三者は、決定通知から30日以内に、ブリュッセル上訴裁判所に競争評議会の決定に対する不服申し立てをすることができます。
閣議決定が却下される場合、最高行政裁判所であるラート・ファン・スターテ(Raad van State)において、閣議決定から30日以内になされます。
書類を提出しなければならない時点はいつですか?
合併または買収は、まず監査人に通知され、監査人から競争評議会に提出して仮決定が下されます。通知は、取引の実施前だけでなく、取引の締結後、合併の締結後、買収の公表後、または交換入札もしくは支配権取得後にも行なわなければなりません。契約案の状態で通知することも可能ですが、この場合、通知した契約案と異ならない内容の契約を結ぶことを当事者が意図していることが条件となります。通知は必須です。競争評議会の決定が下される前に取引を実施することはできません。
合併または買収の承認の最終決定までの所要時間はどのくらいですか? 承認を受けるための審査はどのようなものですか?
合併または買収が通知されると、競争評議会は40営業日以内に、取引の承認または詳細調査の開始のいずれかを決定します(第1段階)。競争評議会が詳細調査の決定を下した場合(第2段階)、当時者が期間延長を要求しない限り、競争評議会は第2段階開始から60営業日以内に決定を下さなければなりません。
審査期間中は停止義務があり、当事者は取引を実施できません。競争評議会が期限までに決定を下さない場合、取引は承認されたものとみなされます。合併または買収が、ベルギー市場またはその大部分における有効な競争に著しい悪影響を及ぼすマーケット・ポジションを創出するかどうかが審査されます。
制限的商慣習
どのような商慣習が禁止されていますか?
著しい程度での競争の歪曲、妨害、制限、ならびに支配的地位の乱用を目的とするか、そのような効果を持つ契約、決定、協調的商慣習はすべて禁止され、罰金が科されます。EU競争法の近代化に伴い、ベルギーは以前適用されていた通知制度を廃止しました。今後は企業が自己評価を行ない、訴訟が起こされた場合、契約が免責に該当するかどうかは国内裁判所が判断します。競争評議会と監査人は、合法の定義に含まれる種々の概念の定義に関する行動指針を定めたガイドラインを発行することができます。
関連市場で支配的地位にある企業にはどのような義務が課されますか?
支配的立場にある企業は、その地位を乱用してはなりません。法律上の定義では、支配的立場とは、競争を妨害することにより、競合者、供給者、顧客を考慮せず行動できる立場です。市場の支配を確定する市場シェアの閾値はありません。立場乱用の例としては、供給の拒否、差別的行為、略奪的行為、抱き合わせなどが挙げられます。抱き合わせとは、支配的な立場にある売り手が、買い手が別の商品も購入しなければ販売を拒否する行為をいいます。支配的立場の乱用禁止の免除を競争評議会から得ることはできません。競争評議会は、企業の要求を受け、問題の商行為が法律の適用範囲に入らず、したがって罰金は科されないとする不問証明を出すことはできます。
競争法に違反した企業にはどのような罰則が科されますか?
制限的商慣習(支配的立場の乱用を含む)を働いた企業、または事前の承認を受けずに合併や買収を行なった企業には、ベルギーでの売上高の最大10%に相当する罰金が科されます。当局からの情報提供要求に対して、企業が意図的に、または過失で不正確な情報や不完全な情報を提供した場合、あるいは事前の通知をせずに合併や買収を進めた場合には、同じくベルギーでの売上高の最大1%の罰金が科されます。
|